そもそも鉄は、通常の環境の下でも錆が発生しやすいので、耐食性をはかる目的で様々な表面処理があります。
鉄鋼の黒染も、その一つです。鉄鋼の黒染(フェルマイト)とは、アルカリ化成法によって製品の表面全体に漆黒色の酸化皮膜を形成させ、耐食性をもたらす処理方法です。
この皮膜は内方向に化成されますので製品の寸法変化は、ほとんどありません。
この処理方法は、表面の油脂や不純物を除去した鉄鋼製品を沸騰温度中のアルカリ溶液(苛性ソーダを主とする)に浸漬するものですが、表面全体が緻密で漆黒色の四酸化三鉄(Fe304)の酸化皮膜でおおわれます。
形成された酸化皮膜はきわめて薄い(1ミクロン以下)ものですが、鉄を錆(赤錆)からまもる効果があります。
そして製品の表面を美しい漆黒色に仕上げます。
古くから鉄を「くろがね」と称してきましたが、それを実感させる外観になります。
なお製品の表面全体を防錆油で薄くおおいますので、耐食性は向上します。